言葉を思い出せないこと。
年齢を重ねるたびに、あれなんだっけ、と思う機会は確実に増えます。
でも、つまの場合は。
台湾の言葉ではわかっているが、日本語の同意味を示す言葉を忘れている。
つまには、こんなことが往々にしてあります。
対わたくしの場合、台湾の言葉で強引に押し通そうとします。
ですので、前後の文脈から想像。
それが何であるのかを推測し、自分自身で納得。
それで会話は終了。
ただ他人の場合には、その日本語が出てくるまで四苦八苦しているようなのです。
本日朝のこと。
つまが朝から所用があるとのことで、家族で家を出発。
保育園到着。
めずらしくつまがむすこを保育園へ。
ややしばらくして戻ってきたつま。
どうやら担任の先生と話していたようなのです。
台湾の木の上にいる鳥のことを。
むすこが保育園で、台湾滞在時、木の上にいる鳥を見たと言ったようなのです。
しかし実際には、鳥ではありません。
わたくし「鳥じゃなく、リスでしょ?」
つま 「そう、リスなの、リス」
台湾の実家近くの公園で、木の上にいるタイワンリスを何度か見たことが。
つま 「もう、そっちの言葉ではわかるけど、日本語が出てこなくて大変だったの」
いやな予感が。
わたくし「もしかして、ごまかして帰ってきたのか?」
つま 「頑張ったよ、わたし」
とりあえず一安心。
本日、むすこのお迎えはわたくし。
木の上のいるのが何なのか問われては目も当てられない。
つま 「松鼠(ソンシュゥ)、松鼠、松鼠って何度言っても思い出せなくて………」
わたくし「で、なんて言ったの?」
つま 「ネズミに似てるって」
わたくし「ネズミには似てないだろ?」
つま 「同じ種類でしょ!」
確かにげっ歯類。おなじネズミ目。
でも、リスを想像させるのに、普通ネズミを例えにはしない。
わたくし「そんなこと知ってて、どうしてリスという言葉が出てこない? で?」
つま 「飛ばないネズミって」
わたくし「もともとネズミは飛ばないし、リスも飛ばないだろ。で?」
つま 「しっぽが長いって」
わたくし「それじゃ、お猿さんだろ」
つま 「いいえ、それはアイアイです」
わたくし「否定すんな! 知ってるよ。だからね、それを知ってて、どうしてリスという言葉が出てこない? で?」
つま 「で、先生が、リスですか? って」
わたくし「先生、わかっちゃったのかよ? ………で、なんて言ったの」
つま 「そう、それ!って」
おいおいおい。自分の力で思い出せていないじゃないか。
ちなみに話には続きが。
わたくし「この一連のやり取り、頑張ったうちに入るか?」
つま 「頑張ったでしょ、リスって分かったし」
わたくし「わかればいいってもんでもないだろう?」
つま 「わからないよりいいじゃない。わたしも先生もわかってハッピー」
このへんが、中華っぽいところか。
先生たちの目がいつもと違ったら、つまに一言茶々つけてやると誓った午前11時。
煉獄の入り口までのあと6時間。