わが家の旅行は道中一人旅。旅のお供はガムとコーヒー

週末になると、決まってどこか連れてけと言いだすつま。
世のご主人たちなら誰もが体験するこの一コマ。
わが家もご多分に漏れず。

つま  「どこ連れて行ってくれるんですか?」

土曜日の平和な午前中。
静寂を破るこの言葉。
目の前のつま、笑顔。
マクドナルドの店員さんも感心するほどの笑顔。

わたくし「……」

返事はしません。
ちょっと前までは返事を。
探していました。必死に。
宿だったり、名所だったり、泊まりだったり日帰りだったり。
ただですね、立てる計画は次から次へ闇へと。

被告を「計画をたてるだけたてる刑」に処す

こんなつらい週末の午前中を過ごしているそこの同士。
仕方ない。こればっかりは仕方ない。

それでも数カ月に一度。
家族でお出かけを。
片道三時間位ほどの旅程。
これくらい走らないと、どこかにでかけた感じがしないとのこと。
運転は十割がわたくし。

先日のこと。
片道二時間半ほどの某所へでかけるため、自宅を出発。
まもなく、助手席のつまが口を開きます。

つま  「ガム、食べるか?」
わたくし「……」
つま  「コーヒー飲むか?」

まだ、走り出して数分。
家から一番近いコンビニにすら到着していません。

人に計画立てさせて、ガムとコーヒー与えて、昼下がりのふわふわとしたワンダーランドへ。
寝るつもりだな、にゃろう。

わたくし「セブンイレブンでいいですね?」
つま  「はい」
わたくし「それにしても久しぶりですね?」
つま  「何がですか?」
わたくし「仕事とかに邪魔されずにふたりでいる時間」
つま  「そうですね」
わたくし「お話しましょうか……」
つま  「いいね」
わたくし「二時間半ほど」
つま  「!?」

助手席でうなだれるつま。
これは久しぶりの大勝利か。
すかさず死人に鞭打ちます。

わたくし「ガムとコーヒーに任せないで……あなたが付き合いなさいよ」
つま  「……わかった」
わたくし「よろしい」

小躍りしたい気分を抑えて、コンビニに。
ガムと微糖コーヒー、子どもの炭酸飲料とお菓子。
つまには無糖のアイスコーヒーと新発売のチョコレートを。

戻ると、助手席は無人。
後部座席に移動したつま。
どうらや、家族そろって寝る模様。

わたくし「……これ、みなさんで」

一時間後。
静まり返った車内。
一人口ずさむ歌謡曲。

起きるつま。
再び寝るつま。
到着する目的地。

せめて三十分でもいいので話すことができればと思う昨今。
次の旅行までに話題を仕込んでおきたいと思います。

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