台北の夜を走る

台湾滞在中、一人、夜の台北を走ってみました。
走ってみたと言うよりは、走らされたと言うべきか。
2月の台北の夜は、風も心地よく………。

ことの顛末は、つまが『針』に行くというところからはじまります。
どうやら台北では、『ダイエットには針』という選択肢が。
そんなコトする必要ないのに、と思いつつも、つまとお義母さんはでかけていきました、もちろん、子供二人をおいて。
つまがでかけ、ややしばらくして娘が泣き始めます。
まだ一歳にもならないむすめ。
途中電話があり、姪っ子がつまと会話。
その十分後、戻ってきたつま。
おもむろに娘を抱くと、ひとこと。

つま 「お父さん帰ってきたら、病院に来て」

病院の位置を告げると、娘を連れて行ったつま。
とりあえず、途方に暮れます。
途方に暮れてばかりもいられませんので、google先生で病院の位置を特定。
距離にして約3.4Km。
小さなバックに、むすめの紙おむつを三枚入れ、さらに車にはねられたときや、久しぶりのランニングで、ぽっくり倒れたときのことを考え、財布には日本の免許証。
七分のパンツ、Tシャツにセーターという格好に着替え、お義父さんの帰りを待ちます。

お義父さんの帰還は、約50分後。
家を出ようとするとお義父さんに呼び止められます。

お義父さん 「おまえはそんな格好で、一体どこにいくんだ?」
たぶん、そんな感じだったのだと思います。

姪っ子を呼んできて理由を話してもらいます。
ここから筆談になります。
まずは場所を伝えます。そして走っていく旨を伝えます。
どうやら非常に遠いと伝えようとしているようです。

わかっています。わかっているのです。
あなたのお嬢さんの針のせいなんです。
そんなことは伝えずに、自宅住所を紙に書き、胸ポケットに入れました。
住所もわかっているし、いざとなったらタクシーで帰ってくるよ、と心の中で念じます。
もちろん、伝わるわけもなく、心配そうなお義父さん。

わたくし 「大丈夫です。I’ll be back」
シュワちゃん気分で言い放ちましたが、日本語と英語だったことに気づくわたくし。
わたくし 「没関係(めいぐあんしー)。我去」

さっそうと家をあとにするわたくし。
時計はすでに10時をまわっております。
つまがでていって約1時間。
むすめが心配です、というより「遅い」と文句を言われたくありません。

民生東路をひたすら西に進みます。
吉林路まで行かなければなりません。
快調だったのは最初の500mほどでしょうか。
肺は悲鳴を上げ、ふくらはぎはこむら返りという名の反乱を起こそうとしています。

わたくし「無理、やっぱり3キロは無理」
バス停で立ち止まり、バスを待ちます。
しかしふと気づきます。

お金持っていない。

財布を忘れたわけではなく、わたくし、台湾のお金を一元も持っていないのです。
よい子が使ってはいけない短い英語を。

しかたなく再び西進。
フォームが崩れ、ぜいぜい言いながら、みっともなく走る日本人。
情けない。

しばらく走っていると、つまから入電。
つま  「いま、どこですかぁ?」
わたくし「シャーウッド(西華酒店)の前」
爆笑するつま。
やりきれない。じつにやりきれない。

つま  「終わったからそっちいきまーす。西華の向かい側で待ってて」
切れる電話。
よい子が使ってはいけない短い英語ふたたび。

待っているときに撮影した写真がこちら。
西華酒店ですが、もはや違う建物といわれても否定できない写真に。
IMG_0977

約5分ほどでお義母さんの車到着。
後々調べてみると、約2キロほど走ったようです。

この夜の快走劇。
スペシャルイベントっぽく、滞在中の出来事の中でも、意外と気に入っています。

ただ、肝心な針の効果はというと………まったくもって残念な結果に。
夜のランニング、それほど意味はなかった模様。

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