つまが臺灣の人間ですので、年に1度くらい臺灣の実家に帰ります。
いっしょに帰ることもありますし、タイミングがあわなければ、一人であとから追いかけたりします。
非常に混んでいて、エコノミーからビジネスへアップグレード。
そんなときは、桃園国際空港で非常に冷たい目で迎えられることに。
臺灣では、いつもつまといっしょです。
彼女は僕をひとりにはしてくれません。
言葉がわからないためか、それとも、一人にしてしまうとふらふらとどこかに消えてしまうためか。
コンビニにタバコを買いに行くのもいっしょという有様。
そんななか、一度だけ、プチ一人散策をしたときのこと。
その日は、つまと同じ美容室に。
先に終わったので、店を出て近隣を散歩。
とても天気のいい日でした。
近くの公園で猫を見つけて写真をとったり、公園のベンチに座ってみたり。
そのときの写真がこちら。
ひなたぼっこの邪魔をしてしまいました。
美容室に戻ろうと、道を歩いていると、前方からおばあちゃんが。
少し腰が曲がっていて、ゆっくりと歩いてきます。
通路は人一人分。こんな道でした。
僕は、木と木の間で、おばあちゃんが通り過ぎるのを待っていました。
すると、そのおばあちゃん、通り過ぎるとき、僕を見ることなく、言ったんです。
「謝謝你」
予想もしなかったお礼の言葉。
通りゆくおばあちゃんを見ながら、ちょっとしたパニックに陥ります。
どうしよう。何か言わないと。
おばあちゃん、行っちゃうし。
「 不客気」
勇気をだして、どういたしましてと。
発音も何もあったもんじゃありません。
それよりも聞こえていたかどうか。
こんな、今は、忘れられない一コマも、たくさん重なっていくうちに、どこかに埋もれてしまって、普通になっていくのかもしれないけれど、僕は忘れないように、大切にしたいと思います。
家族とのヒトコマヒトコマもそうできればいいなぁ、と思います。
おばあちゃん、また、会えるといいな。